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前立腺肥大症とは?
一般的に男性は年をとってくると、若い頃に比べて尿が出にくくなります。その原因の中で多いのが、前立腺肥大症です。前立腺は膀胱のすぐ下にあるクルミぐらいの大きさの臓器で、精嚢(せいのう)と一緒に精液をつくる役目を果たしています。そして、この真ん中を通っているのが尿道です。年をとるにつれて、前立腺はだんだん肥大していきます。そのために尿道が圧迫されて、尿が出にくくなります。
前立腺肥大症の症状
尿がすぐ出ない、少ししか出ない、出はじめてから時間がかかる、尿をした後もスッキリせず、残っているような感じがする(残尿感)、トイレから戻ってすぐまた行きたくなり(頻尿)、とくに夜間に行く回数が多い(夜間頻尿)、股の間(会陰部)に圧迫感がある、尿を我慢できずにもらしてしまう(尿失禁)などがみられるようになります。こうした状態を長い間放っておくと肥大が進み、膀胱に残る尿の量が増え、感染や腎不全などの病気を引き起こすことがあります。
前立腺肥大症の診断
自覚症状の程度、尿流計、超音波検査で診断されます。
自覚症状の程度を点数で表す採点表(表:採点表)が診療の場で使われています。
尿流計は、患者さんに装置に向かって排尿してもらい、排尿開始時から終了時までの単位時間あたりの排尿量(尿の勢い)を測定するものです。患者さんが漏斗(ろうと)状の便器に向かって排尿すると、漏斗の下においてある容器に尿がたまり、その重さの増加速度が、グラフとして表示されます。尿流率の値により、毎秒15~20mlを軽度、10~15mlを中等度、10ml以下を重度と分類しますが、あまり尿がたまっていない時に排尿すると勢いがないというふうに、最大尿流率は排尿量によって同じ人でもかなり変化するので、1回の検査だけでは重症度や治療法は決められません。
超音波検査では前立腺の大きさを計測できます。前立腺肥大症では、全体が球形に肥大して、膀胱内に突出してみえます。正常の人では、前立腺は平たい形をしており、膀胱内にも突出しません。
治療法
前立腺の肥大の程度と、症状の程度を考えあわせて治療方針が決まります。あまり肥大していない場合は、薬物療法で症状を抑えます。
ただし、前立腺肥大の薬は、前立腺肥大自体を根本的に治すことはほとんど望めず、服用をはじめたらずっと服薬する必要があることも知っておいてください。薬物による治療はあくまでも対症療法であり、根治させるためには手術が必要です。なお、これらの薬剤は他の薬と併用しても相互作用はありません。胃腸薬や喘息薬は膀胱の力を弱めて尿閉を起こすものもあります。
前立腺肥大症の手術は、泌尿器科の手術の中で3分の1くらいを占める手術です。手術後も、性交は今まで通り可能です。ただし、子どもをつくる能力はなくなることがあります。
その他、カテーテルを留置する方法もありますが、治療というよりも、一時的に尿路を確保する処置といったほうがよいでしょう。